素材の力を信じて、シンプルに調理する

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素材の力を信じて、シンプルに調理する

フードコーディネーター 長尾 智子
取材・文:藤井志織
写真:福尾美雪
フードコーディネーター
長尾 智子
フードコーディネーター。書籍や雑誌のほか、食品や器の商品開発も手掛けている。オリジナルの器や調味料、セレクトした雑貨などを扱うオンラインショップ「SOUPs」を運営。著書多数。近著に『料理の時間』(朝日新聞出版)がある。

一般的なスーパーマーケットでは、もも肉やむね肉、手羽先、手羽元とといった部位が販売されていることが多く、せせりや首肉、背肝といった希少部位を見かけることは少ない。一羽から取れる量がごくわずかで手間がかかるうえ、需要も供給も安定しないとなると、販路がないからだ。

ひよころ鶏園では養鶏を手がける川内さん自身が屠畜まで手がけているから、Table to Farmでは全ての部位を販売している。そこには、森で獣害と闘いながら、のびのびと大切に育てた鶏をなるべく無駄なく食べて欲しいという想いがある。ただし当然のことながら、1羽につき砂肝は1つ、ささみは2本しかなく、料理するには使いづらいという難点も。だからこそ、今回、料理家の長尾智子さんにお願いしたのは、シャポン(または反去勢鶏)丸ごと一羽の使い方。

長尾
「届いた鶏を見ると、鶏ガラに身が残っていないほど、丁寧な捌き方。絶対に適当に扱いたくないと思いますし、複雑な調理をしないでもおいしくなる上質な素材です。特にレバーは、鶏の育った環境や餌によって、味に大きな差が出る気がします」
名古屋コーチン シャポン(ひよころ鶏園)

丸ごと1羽なんて一度に使い切れない、と躊躇するかもしれないが、長尾さんはそこも考慮して二つのレシピを教えてくれた。

Recipe 01

素材のおいしさをシンプルに味わう

シャポンと野菜の煮込み

鍋に鶏肉と野菜を詰め込み、少なめの水分で煮込むだけ。ぎゅうぎゅうに詰め込むことで、野菜が煮崩れる心配はなく、鶏の旨みが染みこんで、とてもおいしくなる。蓋が重い厚手の鍋を使うといい。

01 / 04
鶏肉にしっかり目(重量の2%が目安)に塩を振り、10分以上おいてから水気を拭き取る。新玉ねぎは四つ割りに切り、根を切り落として皮をむく。そのほかの野菜は皮のままよく洗い、なるべく大きさを揃えながら、大きめの縦長に切る。
24cm径の厚手の鍋に、1の鶏肉と野菜を立てながら詰める。隙間がないよう、ぎゅうぎゅうに詰めるのがコツ。全面に入れたら、隙間に皮付きのにんにくや残りの野菜を詰めていく。ベーコンは野菜に巻きつけてもOK。
ローズマリーをのせ、菜種油を2周ほど回しかけ、水300mlを加えて火にかける。具材にしっかり火が通るまで、40〜50分煮込む。
サルサヴェルデを作る。イタリアンパセリとアンチョビフィレ、ケッパーは粗みじん切りにし、ほかの材料と合わせてフードプロセッサーに入れ、とろりとなるまで撹拌する。煮込みを器に盛り、サルサヴェルデを添える。
長尾
「半身を煮込みにして、量が少ない希少部位はオイルで煮てコンフィにしました。各部位、それぞれの持ち味を味わえます。煮込みはイタリアの古い料理本を参考にした、私の定番料理です。実は訳し間違えたため、本家のレシピとは全くの別物。そんな勘違いから生まれたレシピですが、これがおいしくて。鶏肉のいろんな部位を煮込むので、丸ごと届くシャポンにぴったりです。野菜は大根などの根菜のほか、キャベツやセロリもよく合います。
使いきれなかった分は、調味料に漬け込んでおくのもおすすめですよ。軽く塩漬けしてから煮ておけば、煮凍りごとご飯に炊き込んだり、汁ものにも使えます」
Recipe 02

鶏肉のコンフィ

1羽から少ししか取れない希少な部位は、まとめて油で煮てコンフィにするのがおすすめ。

おいしいコメント
「放し飼いの鶏の内蔵は臭みも無く深い味わい。いろいろ考えずに放り込んだら、それぞれの部位からコクが重なって、オイル自体がこんなにおいしい」(相馬)
長尾
「鶏肉はもちろんのこと、油の質が決め手になる料理。保存性があるので作り置きしておけば、アペロにサラダにと活躍します」
01 / 04
鶏肉は食べやすい大きさに切り、塩を振り、ローリエと合わせて10分以上おく。
厚手の鍋に1と皮付きのにんにくを入れ、なたね油をひたひたに注ぎ、弱火で20〜30分煮る。120度のオーブンで30〜40分加熱してもOK。
パンになたね油を塗り、オーブントースターやコンロで軽く焼き、塩を振る。
2を器に盛り、赤唐辛子を振る。3を添える。
Recipe 03

ゆずポン酢でマリネするだけ

ゆで卵とトマトのピクルス

煮込み料理の付け合わせには、ゆずがふわっと香り、酸味の効いたピクルスを。雄大な自然環境のなかで、のびのびと育った平飼い有精卵は旨みと風味が豊か。それを固すぎず柔らかすぎずの絶妙な半熟にゆでて、トマトと合わせて和えるだけ。

おいしいコメント
「え!ぽん酢だけ!ブッラータかと思いきや、ピクルスなの!家にあるもので、ぽんっと、なんでもぽん酢をかけたくなる超簡単レシピ」(相馬)
長尾
「ピックル液を調合する手前もいらないし、本当に混ぜるだけでOK。ポン酢に少しとろみがあるので、素材とよくからみます。料理とは言えないほど簡単でしょう」

鶏ガラからとった濃厚なスープを使う絶品料理も、次回、じっくりとご紹介します。

01 / 03
ゆで卵を作る。室温に戻した卵を、沸かした湯に入れ、6分ゆでる。火から下ろしたらすぐに湯を捨て、水をひたひたに注いでしばらくおく。
冷めたら殻をむく。ミニトマトは竹串を貫通させ、穴を開けておく。
ボウルにゆで卵とミニトマトを入れ、ゆずのぽん酢をかける。よく混ぜて味をなじませる。

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